小夜時雨 1
※ このお話は完全なフィクションです。特に演劇・脚本業界や某局大河ドラマの内部事情その他には一切関わりございませんので御了承下さい。
階段を上って行く途中、鼻の頭にぽつりと冷たい水滴が当たった。
「ありゃ…」
軽く眉をひそめてグレートは顔を上げる。地下一階から地上一階へと吹き抜けになった階段を通して、濃灰色の空から落ちてくる銀色の滴がはっきりと見て取れた。
「参ったな」
上りきった先は、とあるビルの入り口脇。一階部分は店舗、二階以上はマンションという、この近辺では珍しくもない造りだ。ただ、地下部分がささやかな防音ホールになっていて、アマチュア劇団やバンドが格好の練習場としてよく利用している―という点だけは少しばかり個性的かもしれない。マンション部分のバルコニーが雨よけのひさし代わりとなってはいるものの、ちょっと強い風が吹けば降りしきる雨粒が容赦なく吹き込んでくる。慌てて建物の際ぎりぎりまで避難したグレートは、ため息交じりに再度一人ごちた。
「我輩としたことが、何たる不覚。今夜は稽古で遅くなるとわかりきっていたくせに…」
グレートが張々湖飯店の隣町にある市民劇団の指導を引き受けてからすでに一年以上になる。最初のうちは単なるアマチュアのお遊びかと少々高をくくっていないでもなかったが、いざ蓋を開けてみれば劇団員たちの芝居への情熱ときたら大したもので、どんなに厳しく容赦ない稽古をつけても誰一人弱音を吐かず、皆必死になってついてきた。となればこちらとしても次第に熱が入ってくるのは当然である。
かくてグレートの指導の下、めきめきと実力をつけていった団員たちは、ついに某新聞社主催の「全日本アマチュア演劇コンクール」で見事第三位入賞を果たすまでとなった。おかげでますます皆の士気は上がり、稽古もより熱心に行われるようになったのだが。
アマチュア劇団の常として、団員はそれぞれれっきとした「本業」を持っているから、休日はともかく平日の稽古となると皆の仕事が終わった午後七時、八時以降の開始となってしまう。結果、その終了時刻が深夜近くになってしまうというのもよくあることで、今夜もまた時計の針は午後十時をとっくに過ぎていた。
(さて、どうしたものか)
「春雨じゃ、濡れて行こう」と月形半平太を気取るには完全に季節外れだし、雨足だって強すぎる。腕組みをして考え込んだところへ、背後から豪快な胴間声が追いかけてきた。
「グレート先生! どうなさいました。もしかして、傘をお持ちでないのですかな?」
途端、グレートはびくりと身を縮める。こんな声の持ち主は関係者の中でもたった一人しかいない。劇団オーナーにしてこの町の町会長、権田原鉄五郎氏だ。
しかも次の瞬間には当の権田原氏が、でっぷりとした体を揺すり上げるようにしてえっちらおっちらと階段を上ってきて。
「いや、こりゃかなりの降りですなぁ。こんな中、グレート先生を傘なしでお帰し申すわけにゃいきませんわ。ちょっとお待ち下さい、今わしが…」
「いいい、いえそんな、とんでもない! こんなことで貴方のお手を煩わせてはこちらが恐縮してしまいます。どうぞどうぞ、お気遣いなく…」
たちまち、しどろもどろな台詞と共に尻込みするグレート。…と、いうのも。
この権田原氏、貧しい中から一代で身を興し、ついにはこの御町内どころか県内でも一、二を争う運送会社を築き上げた所謂「立志伝中の人物」というヤツである。もちろんその性格は義理人情に厚く親切で世話好きで、極めつけの善人と言ってもいいくらいなのだが―この手の成功者にはままあることながら、善く言えば豪放磊落の太っ腹、悪く言えば傍若無人の破天荒…ま、はっきし言って何をやらかすかわからないおっちゃんだったりするのだ。
例えばあの演劇コンクール入賞祝賀会。そのパーティーはグレートの暗躍も手伝ってお約束どおりに張々湖飯店で盛大に催されたのだが。
グレートの共同経営者だからという理由で張々湖を、そしてこの店の従業員だからという理由だけでコックの陳や事務員の羅まで捕まえて「先生、先生」と持ち上げまくり、すっかりパーティーの主賓に祭り上げてしまったのだからたまらない。もちろんそんなの、厨房で調理に専念しなくてはならない張々湖と陳、そして臨時配膳係として休む間もなく立ち働いていた羅にとっては大迷惑。挙句の果てにはとうとう人手が足りなくなってこっそりギルモア邸のジョーとジェットに連絡、加速装置全開で―ついでに言えばたまたまそこに居合わせたフランソワーズとピュンマをお姫様抱っこで同伴して―手伝いに駆けつけてもらい、どうにかこうにか宴会を無事済ませたという笑えない話もあるくらいだった。ちなみにその翌日には張々湖も陳も羅も気疲れでぶっ倒れ、張々湖飯店始まって以来の「臨時休業」の札を店先に掲げなければならない羽目になったとくればまさにその破壊力、恐るべし。
今だって、このままいけば権田原氏、タクシーどころかハイヤーなんぞを呼んでしまうかもしれない。しかし隣町の店までならばいざ知らず、ここから電車で一時間近くもかかるギルモア邸にそんなモノで送ってもらうなんて、常識をわきまえた一般人としてはできない。絶対に、できない。
「しかしグレート先生、この雨に傘なしじゃぁ、とてもじゃないが駅まで歩いて行くんだって難儀なことですぞ」
心配そうな顔の下、でっぷりとした体がじりじりと迫り寄ってくる。
「あ…。いやそのっ! 傘なら…傘ならちゃんとありますゆえっ。ほら、こんなに大きな蝙蝠傘…実はこれ、我輩がイギリスに里帰りした際に買ってきた優れ物でしてな…これさえあれば駅までだろうが何だろうがどこまでだって大丈夫っ! いや、お心遣いまことにありがとうございました。では!」
迫りくる肉の、もとい巨体の迫力に追い詰められてとっさに自分の右手人差し指を蝙蝠傘に変身させたグレートは這々の体でその場から逃げ出した。
(…はぁ。考えてみれば最初からこうすればよかったんだ。やれやれ、我輩もまだまだ修行が足りんなぁ)
稽古場からすぐそこの角を曲がるまで、かなりの速足で歩いて(逃げて?)きたグレートはようやく歩調を緩め、ほっと息をついた。ここまで来ればもう安心、あとはのんびり帰るだけ…と再び歩き出そうとしたそのとき。
(…?)
目の前にそびえ立つ電柱の陰に人の気配を感じた。それとなく身構えつつ目を凝らせば、まぎれもない人間の影が一つ、隠れるように佇んでいる。
ほっそりとしたその体つきは女のようだし、別に殺気も感じられないが油断は禁物。努めて何でもないふうを装いながらも慎重かつ隙のない足運びでその傍らを通り過ぎようとしたグレートの耳に―。
「グレートさん!」
響いたのは、どこかで聞き覚えがあるような声。
首をかしげたのと同時に人影が一歩、前に出た。今まで闇に隠れていた顔が、夜の街の明かりにほんのりと浮かび上がる。途端、グレートは破顔一笑していた。
「かおりさん! 何だ、かおりさんじゃないか! しかし一体どうしてあんたが…?」
「ごめんなさい。でもちょっと…グレートさんに相談したいことがあって…お店に電話したらこちらだって伺ったからずっと待ってたの」
申し訳なさそうにその場に一礼したその女こそ、かつてグレートが客演として参加した劇団「たまゆら」の主宰者兼演出家兼脚本家、そして看板女優でもある松本かおり、その人であった。
「相談…?」
一瞬ひそめられかけたグレートの眉が、次の瞬間ぴくりとはね上がる。
「それは別に構わんが…しかしこんなところじゃあまりに何だ、駅の方に出て喫茶店でも探そうじゃないか。さ、ささ…」
言うが早いか、かおりを追い立てるようにしてそそくさとその場を立ち去ったのはもちろん権田原氏を警戒してのこと。「たまゆら」の松本かおりと言えば日本の舞台演劇界では広く名を知られた存在だし、最近ではTVや映画に出演することも多くなって視聴者の間でもその知名度はうなぎ上りである。そんなかおりと一緒にいるところを権田原氏に見つかりでもしたらどんなことになるか、考えただけでコワイ。
だが幸い、二人は誰にも見つかることなく―やがて雨も上がった十五分後には無事、駅前の喫茶店に落ち着くことができたのであった。
「演技指導!?」
ついつい大声を上げてしまったグレートは、あたふたと両手で口を塞ぐ。自分の前にうつむいて座っている女が「あの」松本かおりだなんて周囲にばれたら大変だ。すでに夜もかなり更けてきたとはいえ、喫茶店の中は結構混雑している。
だが、それはそれとして―。
かおりの相談ならば芝居絡みに違いないとは予測していたが、よりにもよって「演技指導」とは。
「おいおい、かおりさん。あんた、頼む相手を間違えてないか? 仮にも天下の松本かおりの演技指導なんて大役をどうして俺なんかに…」
「『俺なんかに』なんて言わないでよ。この前の舞台でその松本かおり相手に互角に渡り合ったのは誰? 天下のグレート・ブリテンでしょう?」
「う…うむ。そりゃ確かに、なぁ…」
かおりと自分の実力はほぼ互角。それはグレートも認めるところであった。さらに言えばグレートの方がいくらか年長で経験も積んでいる分、かろうじて頭一つ…いや半分程度は抜きん出ているかもしれない。しかしそれはごく些細なこと、かおりに比べて自分の方がほんの少しだけ得意分野が広くて演技上の細かいテクニックなども身につけている、その程度だと思っている。そこを見込まれ、是非にと頼まれればできなくはないだろうが…しかし松本かおりほどの女優の演技指導ならば自分たちよりもさらにベテラン、斯界の「大御所」と言われる連中の役回りではないだろうか。
「そりゃ俺だって、他ならぬあんた直々の頼みなら引き受けるのにやぶさかじゃないさ。でもその前にまずどんな芝居の、どんな役の演技指導をしなきゃならんのか、そこんところを聞かせちゃくれまいか?」
グレートの、極めて筋の通った申し出にもかかわらず、かおりはなおもうつむいたままであった。だがしばらくののち、きっとその顔が上がって―。
「演目は『たまゆら』の新春公演、『クリムゾン・ローズ』よ。そして役柄は…」
「え…? ちょっと待てよ! …って、話の腰を折ってすまん。だがかおりさん、おたくの新春公演は例の『ブルー・ヴァンパイア』の再演だって、この前言ってただろうに」
「ブルー・ヴァンパイア」は「たまゆら」にとってもかおりにとっても出世作だった。以前からマニアの注目を充分に集めていたとはいえ、所詮小劇場専門の弱小劇団にしかすぎなかった「たまゆら」の実力を余すことなく発揮し、演劇界のみならず世間一般に見せつけた芝居、それこそが「ブルー・ヴァンパイア」なのである。もちろん、脚本・演出・そして主演は松本かおり。実はグレートもその芝居を観に行って―練りこまれ、計算しつくされた脚本と、意表を突いた、しかし的確な演出に舌を巻いたクチだったりする。
しかし何よりも印象的だったのは女優としての松本かおり。若くて純粋な青年に邪な恋心を抱き、ついには青年の血を吸い、無理矢理自分の仲間に引きずり込んだ女吸血鬼。しかし最後はその身を挺して小さく可憐な恋人を守らんとする青年の「真実の愛」の前に、青年ともどもはかなく滅びて逝く―一度も、愛されることのないまま―。
そんな、邪悪で妖艶で、最後には一抹の哀しみさえを匂わせる難役を見事に演じ切ったかおりの底力にグレートは心の底から感動し、涙を流し―最後のスタンディング・オベーションにはためらうことなく参加して惜しみない拍手を送ったものだった。
だから。
「ブルー・ヴァンパイア」の再演ならば演技指導など全く要らぬこと、かおりはあの役を完全に自分の物にしている。それは自分の役者生命をかけて断言してもいい。
しかし、今かおりが口にした演目は「ブルー・ヴァンパイア」ではなくて。
一体…どういうことだ?
言葉を続けられなくなったグレートに、再び頭を下げたかおりがおずおずと話し出す。
「ごめんなさい…。実は、演れなくなっちゃったの。『ブルー・ヴァンパイア』…」
「何だってぇぇぇぇっ!?」
すっかり裏返った絶叫を上げ、またしても両手で口を押さえたグレートに、かおりがぽつり、ぽつりと話したところによれば。
「この夏から秋にかけて…いえ、向こう一年、劇団の主力メンバーほとんど全員にTVの仕事が入っちゃったのよ。あの…○HKの、大河ドラマ…」
「ホゥ! そりゃぁ、大したもんじゃないか! 『たまゆら』の実力がいよいよ全国的に認められたってこった」
ぱっと顔を輝かせたグレート、しかしかおりはなお、困ったように微笑んで。
「ありがとう。でもね、別にウチだけが認められたわけじゃないの。何年か前の大河ドラマで舞台畑の脚本家と、あと俳優もたくさん起用されて結構評判になったでしょ?」
「ああ…たしか幕末モノだったな。新撰組とか、桂小五郎とか」
記憶を呼び起こすグレートにかおりはこっくりとうなづいて。
「それから数年はまたTVの人たち中心でやってたんだけど、この次の脚本は私の師匠筋に当たる人が書くことになったの。その人は今や日本でも一、二を争う大御所で映画やTVの仕事でも活躍してるんだけど、元はやっぱり舞台出身者だから…。せっかく自分が書くんならあのときみたいに舞台系の役者を多く使いたいって、旧知の劇団みんなに声をかけてくれたのよ。となればこちらだってせっかくのチャンスを生かさない手はないって、中堅・若手連中のほとんどにオーディションを受けさせたわけ。…正直、そのときは一人でも二人でも受かればラッキーだって思ってたんだけどね」
そこで何故か、大きなため息。
「ところがいざ終わってみればほとんど全員受かっちゃって―まぁ、大河はキャストの人数も並じゃないから―それも、半分以上がレギュラーか準レギュラー。となれば当然、劇団の方は休ませるしかないわ。あの局の…それも大河はただでさえ出演者の拘束時間が長いんだもの」
「成程…それで『ブルー・ヴァンパイア』がダメになったと」
「ええ。何しろ主役三人のうち、吸血鬼にされた青年とその恋人役が両方ともレギュラーで採られちゃったから…女吸血鬼の私だけじゃ、とてもじゃないけどあの芝居はできないわ。まさか、経験一、二年以下の新人さんから抜擢するわけにもいかないしねぇ」
「それじゃ新春公演は君以外、全員新人だけってわけか…。たはは、そりゃキツイなぁ」
「ベテランが全然残ってないわけじゃないのよ。ほら、龍三センセとかお千賀姐さんとか。実は二人とも、名指しでプロデューサーからレギュラー出演依頼されたんだけど、今回は若手にチャンスを譲ってやりたいからって断ってくれたの。まぁ、確かにあの人たちはこれまで何度も大河のレギュラーやってるし…でも、本当は劇団の方が完全にお留守になっちゃうのを心配してくれたんじゃないのかなぁ」
龍三センセとお千賀姐さん―神崎龍三と久世千賀子といえば「たまゆら」ばかりか日本演劇界の重鎮といってもいいくらいのベテランかつ演技派の実力俳優だ。もちろんそのキャリアはかおりよりもはるかに長い。だが、「たまゆら」の芝居とかおりの才能に惚れ込んだとかで数年前から劇団に参加してくれている、かおりにとってはなくてはならない相談役…というより大恩人である。
「うーむ…。神崎さんや久世さんがいてくれるんなら心強い…と言いたいところだが、他がほとんど新人じゃなぁ。…あれ? でも待てよ? あの二人にオファーがあったってぇのに、君には何にも言ってこなかったのか?」
ちょっとむっとした様子のグレートに、かおりは初めてくすりと笑った。
「ううん、もちろんお誘いはあったわよ。主人公を陰で支え続ける乳母役。ただその役はもろレギュラーで、引き受けちゃうと一年丸ごとスタジオ通いしなきゃならなかったから…かといって私には師匠への義理もあったし、無下に断るわけにもねぇ…。で、一応出演だけはOKするかわり、頼み込んで無理矢理主人公の母親役に変えてもらっちゃった。それなら最初の三、四回目あたりで死んじゃうから。事実、私の出演分の撮りはもう全部終わってる。おかげさまで今は完全フリーよ」
「うむ、そうでなくちゃいかん。もし松本かおりを忘れたりしたら、我輩はN○Kでもどこへでも怒鳴り込んでやるところだったぞ」
今度はグレートとかおり、二人分の明るい笑い声が響いた。だが、しかし。
「ま、そんなわけでね。残ったみんなで何とかできる芝居といったらさっき言った『クリムゾン・ローズ』しかなかったのよ。もっともこれは私が随分若い頃に書いた本で、その上共同執筆だったんだけど…」
何故かそこで目を伏せ、ちょっと口ごもるかおり。だがそれもほんの一瞬のことだった。
「でもそんなこと言ってられる状況じゃなかったし、とにもかくにも突貫工事で手を入れて、何とか納得のいくようにリメイクできたわ。そしていよいよ先月から稽古に入って、ああ、これで一安心だって思った。なのに、ね…」
またしてもかおりの言葉が途切れる。しかも今度はかなり―長い。
「たった一箇所、どうしてもできない場面があるのよ。台詞もト書きも全部頭に入ってるのに、そこにくると口も体も動かなくなっちゃうの! …何とかならないかって、自分でもできる限りのことはしたわ。でもだめ! 私一人じゃもうどうしようもない! だからお願い、グレートさん、助けて!」
そう言ったかおりはすでに相当追い詰められているのだろう。その悲痛な声に応えたいのは山々だが、グレートとしてはやはり少々引っかかる。
「ちょっと、かおりさん、落ち着けよ。…あんたの大変な状況はよくわかった。だが…そんな事情ならどうして神崎さんや久世さんに頼まない? あの二人ならキャリアも実力も我輩たちよりはるかに上の大ベテランだぞ。どう考えても、我輩よりはずっと適任…」
「あの人たちには頼みたくないの!!」
びしりとさえぎった口調のあまりの激しさに、かえってかおりの方が驚いてしまったようだ。ぱっと口を押さえ、そのまま真っ赤になって頭を下げる。
「ごめんなさい。…でもほら、神崎センセたちには役を断ってもらったり…もうさんざん迷惑をかけちゃってるじゃない。これ以上…余計な心配をさせたくないのよ」
どこか取り繕うようにそうつぶやいて、再び上がったかおりの視線が炎の激しさでグレートを射る。
「演技指導がだめならせめて脚本を読んでみて! それで、もし貴方が女だったら―女優だったらどんなふうに演じるか、話してくれるだけでもいいの。だから…ね、グレートさん、お願いよ…」
そして結局強引に脚本を押しつけられ、とにもかくにも読むだけは読んでみると約束させられたグレートだったのだが―。
いざ脚本を読了したらしたで、今度は全く別の意味で大きく首をかしげてしまったのである。