スカール様の憂鬱 〜確定申告編〜 上
太平洋Xポイント―青い大海原にひっそりと浮かぶその孤島にそびえ立つのは、言わずと知れたBG団の秘密基地でございます。とはいえもちろん、あの憎っくき宿敵、00ナンバーサイボーグどもに破壊されたそれではございません。たとえ一度や二度の敗北を喫したとはいえ、その生命力としぶとさにかけてはゴキブリやミミズにも匹敵するといわれる天下のBGでございます。ちゃっかりしっかり立ち直り、どこから集めてきたかわからないお金でさっさと基地まで再建して、再度この青く美しい地球をその手に収めるための機会を虎視眈々と狙っていたのでございました…。
いつもの基地の朝は畏れ多くも畏くも、BG団総帥スカール様おん自らのモーニングコール…いえいえ、基地内放送による訓戒から始まるのですが、ほんの一時期―一年のうちわずか一ヶ月だけ―その麗しい、マ〜ヴェラスなお声を拝聴できない期間があったり致します。それは毎年ちょうど今頃、二月初旬から三月初旬にかけてのことなのでした。
何故この時期だけ朝の基地内放送がお休みになるのかというのは部下たちの間でも最大の謎となっており、あちこちでさまざまな憶測が乱れ飛んでおりました。曰く、「毎年恒例のバカンスだ」「季節外れの五月病さ」「花粉症かもよ」と、それはそれはやかましく騒がれているのですが、実のところそれらはみんな大ハズレなのでした。スカール様はこの期間中もちゃんと基地内においでになり、お元気でぴんぴんしていらっしゃいます。
ただし、そのご胸中はというと「お元気でぴんぴん」とは口が裂けても申し上げられない状態なのでございますが…。
「よ〜くぉ〜や〜むぁ〜っ! コーヒーはまだかっ! 言いつけてから何秒たったと思っとる! よいか! あと十数えるうちに持ってこないと、俺はどうなるかわからんぞぉぉぉ〜っ」
朝も早よから総帥執務室で元気な声を張り上げているのはもちろん我らがスカールさまでいらっしゃいます。そしてその、聞く者をうっとりさせるような濃ゆい絶叫が響いた途端、真っ青になって執務室備えつけの簡易キッチンから飛び出してきたのは…。
「お…おやめ下さいスカール様! 今暴れたりなさったら、せっかく整理した書類が吹っ飛んでしまうでありますぅ〜」
スカール様の名相方、丸ヘルメットに丸メガネ、丸いお鼻も愛くるしい、新兵の横山くんでございました。実はこの横山くん、「平ゼロ」シリーズ製作まではただの雑魚、十把一絡げの使い捨て戦闘員の一人にしか過ぎなかったのですが、あの「深海の悪魔編」放映後めきめきと頭角を現し、ドラマCD発売に至ってはついにスカール様からの全幅のご信頼を勝ち取って、今ではその第一秘書にまで取り立てられた、同期の中でもダントツの出世頭だったりするのです。
「コーヒーでしたらはいっ! こちらに! お疲れになったお心を和ませるためにはやはりお気に入りのカップがよろしいかと思い、僭越ながら勝手に選ばせて頂きましたっ」
言いつつ、横山くんが最敬礼で捧げ持ったトレイの上には、可愛い可愛いキ○ィちゃんの絵がついた特大カップになみなみと注がれたコーヒーが、温かい湯気をふんわりと立ち上らせておりました。それを見たスカール様が満面の笑みを浮かべられたのは言うまでもございません。
「ほ〜ぉ、横山…。お前もだいぶ俺の好みを飲み込んできたと見えるな。うむ…いつものことながらこの可愛い○ティちゃんを見るだけで、疲れもあっという間に消えてしまうような気になるぞ」
BG総帥というお立場上、常に厳格で冷静な態度を崩されないスカールさまではございますが、その素顔はというと意外にこういう可愛いものが大好きでいらっしゃるのです。
かっと開いたドクロ仮面の目を細めてコーヒーを一口すすったスカール様は、ふと悪戯っぽい表情になって、隣に控える横山くんを意味ありげに見つめたのでした。
「ところで横山…。もし俺が『おかわり』と言ったら一体どのカップを使うつもりだったんだ? あぁん?」
「はっ!」
横山くんが一瞬のうちに姿勢を正して敬礼致します。
「閣下のコレクションのうち、『ミッフ○ーちゃん』と『○っとこハム太郎』までは絞り込んだのでありますが…勉強不足の自分にはそれ以上の決断はとても…申し訳、ございませんッ」
普通なら、鉄板で銃殺間違いなしの台詞でしょう。しかしスカール様は至極満足そうに微笑み、大きくうなづいて。
「ふ〜むぅ…。俺の膨大なコレクションからたった二つにまで絞り込んだか…。それも、まさしく今の俺の求めるものとぴったり一致している。…ふん。よくやったな。満点とはとても言えんがとりあえずは及第点をやろう」
「はっ! ありがたき幸せでありますッ」
「ならばおかわりは『○ッフィーちゃん』のカップに入れて持ってこいっ! 今すぐだぞっ! 十五秒以上待たせたら、お前は即刻対00ナンバー最前線行きだぁぁぁぁっ!」
「かしこまりましたぁぁぁっ!!」
たちまち横山くんがキッチンに飛び込みます。「対00ナンバー最前線行き」などBG戦闘員にとっては死刑宣告と同じこと、いくらスカール様お気に入りの横山くんとはいえ、ついついコーヒーを入れる手が震えるというものでございます。
「お待たせ致しました!」
おかわりが差し出されるまでの時間は十三秒ジャスト。横山くんはどうやら当分生き長らえることを得たようです。そして再び満足げに二杯目のコーヒーをすすったスカール様が、ふと怪訝そうに顔を上げられました。ドクロ仮面の眉の辺りに、かすかな縦じわが寄っています。
「…どうした横山。もう下がっていいぞ」
「あ…いえ。でも、そのぅ…」
ぐずぐずと煮え切らないその態度に、スカール様の眉間の縦じわがさらに深くなりました。
「よ〜くぉ〜や〜むぁ〜っ! おめぇ何そんなもじもじぐだぐだしてるんだよっ! この前言ったでねーのっ。『言いたいことがあったらフランクに言ってみろ』ってさっ! ただでさえ俺は連日の徹夜でボロボロなのよっ! せっかくこのコーヒーのおかげで回復したHPをまたも無駄に浪費させるつもりかいっ!(ちょっと待ってよスカール様…。もしかして『ド○クエ』ファン…?)」
ですが、横山くんはなおもおずおずとスカール様を見つめ…。
「そうですっ! まさしくその通りですっ! …あの…スカール様はここ数日、ほとんどお休みになっていらっしゃいません。いかに超人的かつ神のごときお力を誇る閣下といえどもこれでは…いくら何でも限界でありますッ! あの…できますればほんの一時間…いえ、三十分でも結構です! そちらのソファででもどこででも、どうかお休みに…」
しかしこの涙ながらの訴えは、運悪くかえってスカール様の神経を下ろし金で逆なでしてしまったようです。
「ぶわっかも〜んっっっ!! 今の俺にそんなヒマがあるわけねーべよっ! いいか、申告書の提出締切日は明後日なのよ、明後日! なのに現在の状況はといえば、書類こそ全部揃ったものの、これから項目別に全部計算してその合計を出さなけりゃいかんちゅーねんっ! 一体それにはどれだけ時間がかかることやら…うおお…っ! 考えただけでめまいがっ! 頭痛がっ! 吐き気がぁぁぁっ!」
「ス、スカール様ッ! お気を確かに〜っ!」
…そう、スカール様ともあろうお方をここまで追いつめ、消耗させている原因というのは全て、日本というチンケな国の確定申告制度そのものなのでありました。
世界征服を目標に日々邁進するBGにとっては経済界を制するのも重要な作戦の一つです。当然、傘下の企業も世界各国に数千をかぞえ、資金面および物資調達面で強力なバックアップをしてくれているのですが…。
いかに天下のBGとはいえ、世界中の全企業を手中に収めることなどできません。ま、企業なんてものはあくまでも営利団体でございますから、札束でトップの横っ面でもひっぱたいてやれば結構簡単にこちらに忠誠を誓ってくれたりするものなのですが、中にはもういい年こいた出っ腹オヤジや皺くちゃババアのくせに、純粋培養された汚れなき青少年少女どものごとく青臭い正義感を振りかざし、「武器・兵器産業などとは取引しないッ」などとヌカす経営者、あるいは銀行頭取なんかも結構いたりして、スカール様の悩みの種となっていたのでした。
そんな不届き者はさっさと闇に葬って、体型から顔からそっくりに整形した替え玉でも送り込んでやるか、でなければ本人をかっさらってきて洗脳あるいは改造し、こちらの思うままに動く操り人形にしてやればいいのですが、一人や二人ならともかく何十人ともなると、それにかかる時間や手間や資金や人手も膨大なものになります。
そんならいっそBGが全額出資して、その不届き者企業と同等の力を持つ別会社をおっ立ててしまった方がよっぽど簡単でございましょう。
…てなわけで、傘下どころかBG直営の会社というのも近頃では結構増えてきているのでございます。その数、全世界におよそ五百というところでしょうか。
例えBGに忠誠を誓っているとはいえ、表面上全くの別法人―よーするにBGがびた一文出資してない企業―であれば、その経営は別の幹部に任せておいてもよろしいでしょう(事実、スカール様の片腕バン・ボグート氏などは日本の三友工学の社長をなさっておりますね)。しかしBG直営の会社ともなれば、その代表取締役社長にふさわしいお方はスカール様以外には考えられません。とはいえまさかご本名で社長就任はまずいとお考えになったスカール様は、実業界においては「ボン・ボラボッチ」という偽名を使うことになさったのでした。
ちなみにその「ボン・ボラボッチ」氏、書類上は日本に居住していることになっています。それというのも、BG直営会社第一号が設立されたちょうどその頃、あの忌々しい00ナンバーサイボーグどもが脱走し、かつての基地を滅茶苦茶にぶち壊してくれよったわけで…。追跡調査の結果、その後の00ナンバーどもが日本を拠点にしていると聞いたスカール様は、「もしかしたら奴らを抹殺する役に立つかもしれない」と、ボラボッチ氏の居住地もまた日本にお決めになったというわけなのです。
しかし、ボラボッチ氏なんて架空の人物の居住地を日本にしたところで、あの裏切者どもをブチ殺す助けになど、さほどなるはずがありません。賢明にもそれに気づいたスカール様は一時、ボラボッチ氏をどこか別の国に引越しさせようかとも結構真剣に考えていらしたのですが。
この日本という国、先の大戦であれだけの犠牲を払い、平和というものの大切さを骨身にしみて味わったくせに…。そればかりか、たとえ他国からの押しつけとはいえ世界に類のない「平和憲法」を掲げ、そのおかげでこの数十年間平和という尊い財産の恩恵を思う存分享受してきたくせして、今になってどこをどうトチ狂ったか。
世界情勢の変化にでもノセられたのか舞い上がったか、そのときそのときの為政者の思惑次第でどーとでもでっち上げられる、よくわけのわからない「国益」なんぞのためには戦争もやむなし、国際貢献に全力を尽くすぞ〜、なんてアホなことをヌカす政治家や有識者なんかが雨後のタケノコのようにぞろぞろと湧いてきやがりました結果、それに踊らされたバカな一般大衆も「戦争やむなし」の意見に少しずつ、少しずつ傾きはじめてたりして…まさしく世界平和にとってはとんでもない悪性腫瘍、いえいえ、BGにとってはこれ以上ないという美味しい活動場所になりつつあるのでございます。
こーなりゃ00ナンバーの抹殺など二の次、この国を拠点に新たな紛争の種をばら撒いてやろうと方針転換なさったスカール様は、ボラボッチ氏のお引越し計画をあっさりと白紙に戻してしまわれたのでした。
なのでとーぜん、ボラボッチ氏は日本の居住者ということになり、その収入にかかる税金は日本国政府に納めなければならないということになります。例え架空の人物だろうが何だろうが、そんな子供だましの理由で納税を見逃してくれるほど、日本の税務署は甘いモンじゃぁございません。
かくて今、ボラボッチ氏=スカール様のもとには日本の某税務署から送られてきた確定申告書Aの用紙と、世界各国から送られてきた申告用書類が山積みとなっていたのでございました…。
一応、ボラボッチ氏の収入は給与によるもののみとなっております。となれば本来確定申告なんざする必要はなく―各社が毎年末に行う年末調整のみで普通は事足りるのでございますが―。
何せ五百社。何せ世界中。
現在のBG直営会社は世界経済に大いなる影響を及ぼす大企業からマネーロンダリング用のペーパーカンパニーまでまさにピンキリ状態、とはいうもののその全てが社長であるボラボッチ氏には、大なり小なりしっかりと役員報酬を支払っているのでございます。その総額といえばおそらく何億円、いえ何十億円にもなりましょう。困ったことに日本の税法では、例え給与収入のみで生計を立てている人間といえどもその年間総収入が二千万円を超える場合には確定申告を行わなければならないと定めているわけで―。
ボラボッチ氏が日本に居住している(ということになっている)限り、スカール様がこの、年に一度の悪夢から逃れるなどとは到底できない相談なのでございました…。
かちゃかちゃかちゃかちゃ。
ぺこぺこぺこぺこ。
しんとした執務室の中に、二台の電卓の音だけが絶えず響いております。
「…そっちの進捗状況はどうだ、横山」
執務机でせわしなく電卓を叩いていたスカール様がふとお尋ねになりました。
「はっ! 海外企業三九四社分のうち、二〇三社までのレート計算、終わりましたっ」
執務机に向き合うように置かれた巨大な作業机―洗い物を済ませると同時にそこに陣取り、必死に電卓を叩いていた横山くんが間髪入れずにお答え申し上げます。彼の今の任務は先の台詞にも出てきたレート計算…世界各国の会社からボラボッチ氏=スカール様(ああ、ややこしいっ)に支払われた役員報酬を、日本円に換算する一連の作業でございました。
「何だよお前っ! さっきから三時間もかけてるってぇのにまだ半分しか終ってないのぉっ!? そんなこっちゃ、明後日までになんかとてもじゃないけど終らねーじゃんよぉっ!」
「も、申し訳ございませんっ!」
スカール様の悲痛な声に、慌てて床に平伏する横山くん…。しかしそれも仕方のないことでございましょう。何せ五百社。何せ世界中。一口に「日本円に換算」といったところでその通貨単位の種類はというと…アメリカドルからイギリスポンド、中国元から韓国ウォン、ロシアルーブルにタイバーツ、ブラジルレアルにインドルピー、イランリアルにエジプトシェケル、カナダドルならラリア(オーストラリア)ドル、トドメはイェメンリヤールでいっ! …その他モロモロの換算レートがどれもこれもみんな違うのですから、三時間かけようが四時間かけようが到底終らない作業には間違いございません。
それでもヨーロッパ諸国のほとんどがユーロに切り替えてくれたおかげで、これでもまだマシになったはずなのですが、今や尻尾に火がついた…いえ、尻尾どころかお尻までぶすぶすと焦げ臭い匂いを立て始めたスカール様にとってはそんなこと、考えるだけでもかえって腹が立つというものでございます。
「うおおおおおぉ〜!」
ついには頭を抱え込み、執務机にがっくりと突っ伏したスカール様。しかしやがて、そのお顔がゆっくりと上がり、何とも言えない狂おしい光をたたえて横山くんを見つめます。
「よ〜くぉ〜や〜むぁ〜…。こーなったら…許す」
「は? 何をでありますか?」
きょとんとした横山くんに、いつも以上に濃ゆい、さながらオリーブオイルかインスタントコーヒーペースト、でなけりゃサーモンディップかしらすディップのようなスカール様のお声がねっとりとからみつきます。
「使っていいよ、加速装置…。お前がTVで『カッコいい!』と憧れ、どーゆー理屈かは知らんがあっさりすっきり習得しちまった、あの特殊能力をよっ! …考えてみれば俺にも加速装置はついとるんだ。ああ…思い起こせばあの魔神像の中でもそれをフルに使って、あのクソ生意気な009とかいうガキんちょを思う存分痛ぶってやったんだよなぁ。ちくしょおおおぉぉぉ〜っ! あのときあいつの息の根を完全に止めときゃ、今頃は地球の一つや二つ、簡単にこの手に入れていたものをっ! …いやそれはともかく、二人で加速装置使えばこの程度の計算なんかあっという間に終らせることができるではないか。物真似だのなんだの言ってるバヤイではないっ…ってーか、あれはもともとわがBGが開発した装置であって、それを不正使用しとるのは間違いなくあいつらの方だっ! …てなわけで、いくぞ横山!」
「はっ!」
一、二の、三、せーのっ!
「加速装置っ!」
二人の叫びと同時に鳴り響いたのはお約束の「カチッ! シュンシュンシュンッ!」という効果音。そのときにはもう二人の姿はかき消え…いえあの、消えたのは両手首の先だけなのですが…おそらくそれは二人の左手が目にもとまらぬ速さで書類をめくり、右手はこれまたマッハのスピードで電卓を叩きまくっているからでございましょう。これこそまさにスカール様のご英断というものでございます。たとえどれほどの書類の山とて、このスピードで計算すれば、あっという間に片づいてしまうに違いありません。…あれ? でも待てよ。(←作者の心の声)
ふと胸をよぎった嫌な予感の正体に作者が気づくよりも早く。
「ふ…ふごおおおぉぉぉっ!!」
「ひぇっ! 書類が…書類がぁぁぁぁっ!」
…あ。そーいえばそーだったのでございました。加速した者の手にかかれば可燃性物質のほとんどは空気摩擦による高熱のおかげであっさり発火してしまうのもまた、もう一つのお約束。おまけに二人が今扱っていたのは書類―すなわち紙だもんなぁ…さぞかしよく燃えたことでございましょう。
そしてはっと気がつけば、世界中から集めた書類は二人の机の上で、見事なまでに燃え尽きていたのでございました…。その真っ白な灰の山を見つめるスカール様のご胸中はいかばかりなものでございましたでしょう。ああ、考えただけで作者の目からも涙がにじみ出て参ります(…と、そっと目頭を押さえる)。
ですが、こんなことで挫折するなどBG、いえスカール様のメンツに関わります。茫然自失状態から立ち直るやいなや、全世界の直営会社に檄が飛ばされました。曰く、「先に提出したボラボッチ氏の給与に関わる書類を今すぐデジタル通信で基地本部に送り直せっ!」との絶対命令でございます。あっという間に再びデータは基地内のコンピューターの中に復元されたのでした。
しかし申告書に添付するにはやはり文書化しなければなりません。そこで今度はBGが世界に誇るスーパープリンタ様のお出ましでございます(←しかし世界征服を企む悪の秘密結社がそんなモン世界に誇ってどーすんだ)。通常のオフィス用プリンタに比べれば数十倍、数百倍の速度を誇るその印刷能力をもってすれば、データの文書化など簡単、簡単。
とはいえ、何せ五百社。何せ世界中(いやそれはもういいから←自分)。さすがのスーパープリンタ様と言えども、全資料を印刷するにはやはり三十分から一時間はかかるわけで…。
その間スカール様と横山くんは、不本意ながら全ての作業の手を止めなければならなくなってしまったのでした。